神耳Project/AntanProject

広がる世界、全ては一つに。

VICTIMs for PEACE (2) -私が悪役になるまでの物語-

 VICTIMs for PEACE

-私が悪役になるまでの物語-
神耳Project.作:Antan

※この作品はフェクションです。

無一文 ‐3ページ目‐

「船に乗るか」
そう呟いたヴェリーは、腰掛けて居たカフェのテラスの椅子から立ち上がった。それからさっさと乗船券を買おうと、カフェを出ようとした。
「お客さん、お金払ってもらわないと……」
おっとヴェリーは、お会計を済ませていなかったようだ。教えられなかったら無銭飲食で捕まるところだったな。
「忘れてた。いくらだっけ」
店員は呆れ顔をしているようだ。
「二〇カースだよ。……そういえば今日はあの子、今日は来てないな、嬢ちゃん知ら……」
ヴェリーは二〇カース渡し、急いで乗船券が売られている屋台へ駆けていった。(あのお客さん、何急いでるんだ?)屋台まで着いたら、受付人のおばあさんに話しかけた。
「ギンショウ島行きの券を一つ、明日の朝で」
おばあさんは慣れた手つきで、切符棚から乗船券を取り出した。
「それなら魔動式だね。三四〇〇カースだよ」
ヴェリーはリュックから財布を取り出し……しかし、なかなか三四〇〇カースが出てこない。おっと、財布にチョップをしたぞ。しかし三四〇〇は出てこない。ずっと財布を覗いている。ヴェリーは何もかも終わってしまった絶望に満ちた動きをしている。
「無い」
おそらくヴェリーは、笑って誤魔化そうとしたのだろうが、三六五日無表情の彼女の表情筋は硬い。唐突の変顔におばあさんは唖然。そりゃそうだ。
 そろそろお金を貯めないと、この大陸どころか魔界なんて行けやしない。そのことに気が付いたのか、ヴェリーは役所へ行った。

受付 ‐4ページ目‐

役所で仕事をする訳ではない。一時的、短期の仕事を取りに来たのだ。ハロワ?違う。異世界系で冒険者ギルドでクエストを受けるだろう。その事とまったく一緒だ。ヴェリーは冒険者だから、収益源が無い。だから、危険な仕事をすることでお金を稼ぐ。
まあ、その分、冒険者になるにはある程度の資格が必要になる。そうしないと、魔物との戦闘や危険地域への侵入は違法になる。当たり前だが、国は一般人を危険な目に合わせれないからだ。
今、ヴェリーはダンジョン探索のパンフレットを見ている。彼女の表情からは何も感じ取れないが、おそらく楽してすぐに出来て簡単な依頼でも、探しているのだろう。
ダンジョン探索は、全体的に報酬が高い。特に、遺物収集は良い。レアな道具に、強力な武器。金銀財宝に、ダンジョン研究者にとって美味しい物など、宝の山だ。
まあ、遺物は全て納品しないといけないのだが。納品した遺物の価値や量によって報酬額が変化するが、少しだけでもそこそこ貰えるので、人気がある。
おや、ヴェリーが立ち上がったて、受付人のおねえさんの所へといった。
「この依頼受けれる?」
ヴェリーがパンフレットを指差して言った。少々お待ちを……と言われたヴェリー。受付人は急いでカウンター扉をパカパカさせ、書類を閲覧する。
「はい、受けられます。では、こちらに必要事項とダンジョン行動免許、魔物戦闘許可書、魔物討伐許可書を提示してください。冒険者カードがあれば、報酬増額もあります」
ヴェリーはリュックから、免許カードと冒険者カード、紙二枚を取り出した。そして、必要事項を書いた。
「受理しました。ヴェリー・ホワイトさんですね。『うん』……依頼の安全と成功を祈ります」
どうやら依頼の契約が終わったみたいだ。おお、ヴェリーは運が良いのか、一番儲かる収集の依頼に受けている。普通、この依頼が出されたらすぐ取られる。
ヴェリーは宿へ行った。準備しようと思ったのか、リュックをひっくり返して、床を散らからせた。あれ?準備しないのか。ヴェリーは、リュックから出てきた写真を掴んだ。子供たちの集合写真だ。その写真に思い出があるのか、それをじっと見ている。子供たちと魔女が、楽しそうにヴェリーを見つめる。
しばらくして、やっぱり作業を始めた。ランタンにポーション、謎の棒に防具に……と並べていくヴェリー。
確認でもしているのか。一通り並べたら、またリュックに入れた。並べられなかった物は、部屋の隅っこに、まとめてある。
そして、ベッドにダイブして、スヤァとなりそうな時、やっぱ寝ないと思ったのか、急に起き上がった。ずいぶんと忙しい。
外を見ろ、まだ明るい。
ヴェリーは、のんびりと防具を着た。そして、さっきまとめたあのリュックを持って謎の棒を腰につけて、部屋を出た。ヴェリーは地図を開き、依頼のダンジョンの位置を確認した……

依頼と救済 ‐5ページ目‐

どうやら、目的の場所に着いたみたいだ。ダンジョン前に借りてきた荷台を置いて、準備体操をしているヴェリー。
このダンジョンは、森の中にあり、最近見つかったらしい。というのは、ヴェリーには関係無いみたいで、薄気味悪いダンジョンに怖がりもせずに、ずんずん中へ入っていった。
入り口では分かり難いが、中はちゃんと出来ている。壁には、細かい模様が彫られていて所々に柱や部屋がある。
ヴェリーは、床に落ちていた木箱を強引に開けた。中には、錆びた短剣が一本。豪華な装飾が施されている。その短剣を、リュックの中に入れた。そしたら、奥に進みだした。
そこそこ進むと、もう何も見えない。ヴェリーは取り出したランタンに明かりを灯した。
すると、ランタンの灯りで現れた分かれ道。そこの真ん中に、明らかに怪しい宝箱がぽつんと。
それを見つけるやいなや駆けて行き、普通に開けるヴェリー。すると、中から急に魔物が飛び出てきた。あれは、どう見ても罠だった。どう見ても。
魔物が居るのに、かまわず宝箱をあさる。魔物もちょっと引いている。
「あ……、この子、中身食べたのか」
違う、元から入っていない。魔物はヴェリーが逃げたり襲ったりしてこないので、訳が分からず固まっている。
「だ……誰か、助けて……助けて、お願い……」
こんな平和な事をしていたが、ここはダンジョンだ。
子供の声がダンジョンに響く。しかし、ヴェリーは気が付かない。おい、気が付けよ。
やっとヴェリーは声のする部屋に行った。やっと気が付いてくれたか。
「???」
部屋に行くと、ボロボロの服の男の子が触手に襲われていた。それを見たヴェリーは困惑。ひとまず部屋を出る。
いや、だから助けろよ。
「おねーちゃん助けて……」
やっと、男の子が助けを求めているのに、気が付いたようだ。遅いだろ気が付くの。
すっと部屋に入り、あの謎の棒を取り出た。そして、謎の棒を持って構えて呟いた。
「火属性・長剣」
と。謎の棒は、どんどん変形して行き、炎を纏ったロングソードになった。
その剣を力強く握り、近くまで駆けつけ触手に飛びつき、男の子が捕まっている触手を斬った。落ちた男の子を捕まえて、部屋の角まで連れて行った。そして、迫って来る触手に炎の斬撃を放った。触手は二つに分かれて燃え盛っている。
その隙に、無気力な男の子を、ヴェリーはダンジョンの外に連れ出し、ポーションを飲ませた。
男の子は、傷が癒え、瞳が明るくなった。
「君、名前は?」
ヴェリーが、男の子の背に合わせて屈む。
「ブロウ・ガードナー……」
「親は?家?」
ブロウは寂しそうに言った。
「どっちも無い」
ヴェリーはブロウの頭を優しく叩いた。
「二〇〇〇〇カース。この地図あげるから、医者に行ったほうが良い」
ブロウは、このぎりぎりまで気が付かなかった冒険者に、憧れの眼差しでうんと答える。ヴェリーはブロウに別れを言い、またダンジョンに入った。
そしてまた、木箱を開けたり、拾ったりして遺物を集めた。出てきた魔物とも如何にか戦い、遺骸を遺物のついでに持って帰ることにした。

収穫もそこそこなので、ヴェリーは帰ることにしたようだ。魔物の遺骸と遺物を荷台に乗せて、乗り切らなかった遺物は、リュックに入れてそのまま役所に行った。もう夕日も沈みかけていた。
「納品された物が十一点、希少な物が三点に、遺骸が二点、税金を差し引いて、計一八二〇〇〇カースになります」
ヴェリーはお金を受け取り、謎なドヤ顔をする。本当にヴェリーの考えている事が気になる。
ヴェリーは受付人の礼をよそ目に、さっさと宿へ戻っていった。
宿へ戻ると、すぐに寝た。

なかのひと

※作品の内容とは関係ありません

Antanです。

ここでは試作を出しています。

改善点などのご指摘を頂けたら嬉しいです。

ここまで読んでくださりありがとうございました。

(つまらない話でごめんなさい)